最優秀賞 一般事業部門

Pulse Laser Grinding技術を活用した切削工具の再研磨事業

Three-labs 夏目 航平さん 糸魚川 文広さん 前川 覚さん(株式会社スリーラボ)

国内だけでも4000億円規模の切削工具市場において、経済性と環境保全の両面で革新をもたらす事業です。 名古屋工業大学が開発したレーザ加工技術を応用して、顧客である加工業者における切削工具再研磨の業務プロセスを変革し、 圧倒的な工具費の削減という価値を提供します。従来の切削工具の再研磨方法である機械的な研削加工では、 技術的または経済的な理由から全ての工具を再研磨することは出来ていません。 名古屋工業大学が開発したPulse Laser Grinding(以下、PLG)技術を利用して、 現在再研磨が出来ていないものを含めた全ての切削工具の再研磨を実現します。 切削工具の再研磨を行う割合が増えるほど、環境負荷も低減します。私たちは本事業を通して、年間2000億円規模の経済的な価値と、 持続可能な社会に向けた貢献を提供できると考えています。

受賞コメント

この度は、最優秀賞に選んで頂きありがとうございます。今回の受賞を励みに、より多くの企業にこの技術を届けられるよう、事業を推進してまいります。 最後に、コンテストを運営してくださった関係者の皆様に心より感謝申し上げます。今後とも、本事業の実現に向けて尽力していきますので、 引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。

委員長コメント

本プランは、金属加工業における切削工具の再研磨において、従来とは異なるレーザ加工技術を用いることで、 工具費をはじめとする経費削減やその製造プロセスにおける環境負荷の低減を提案するものである。 従来の再研磨は機械的な研削加工で行われているが、技術的または経済的な理由から一部の工具でしか行われていないということもあって、そのコスト削減が大きな課題となっている。 提案者は、名古屋工業大学機械工学科の学生時代に行っていた研究活動から、この課題に着目し、社会経験を経て、母校である同大学の開発したレーザ加工技術を応用した切削工具再研磨装置の研究開発と事業展開の事業プランを提案している。 その研究成果から、レーザ加工は工具の硬度に関係なく、短時間で精度の高い加工を実現しており、汎用性の高さや複合的な技術によってもたらされる独自性、大学発ベンチャーという優位性は高く評価される。 また、装置の剛性が要らなく、小型化が可能であるということから、切削工具を取りはずすことなく、加工機上での再研磨を実現するという開発製品には、金属加工業の課題に大きく寄与するものと期待する。 日本のものづくりを地元東三河から元気にしたいという想いの伝わるビジネスプランであると評し、本年度の最優秀賞とする。

優秀賞 一般事業部門

軽くて長持ちな新規開発屋根材「タイルーフ」を販売することで、エンドユーザー、ハウスメーカーが満足し、未来の社会に貢献する

 小栗 和彦さん(甍エンジニアリング株式会社)

当社が開発して特許を取得した「軽くて長持ちな屋根材」を販売するビジネスプランです。 屋根材は住宅にとって必ず必要なものですが、屋根は興味の対象外であり、多くの方は屋根材のことや屋根リフォームのことを考えずに家を建てます。 その結果、住宅ローンを払いながら屋根リフォームを15年毎に行わなければならないという方は非常に多く、経済的に大変だと聞きます。 また、瓦屋根は屋根が重いので、地震の際の住宅倒壊リスクが高まり、不安だという声も聞きます。 タイルーフは「軽くて長持ち」なので15年毎の屋根リフォームの必要もなく、屋根が軽いので地震の時にも安心な屋根材です。 トータルコストが安く、地震の時にも安心な「タイルーフ」を多くの人に提供していくためのビジネスプランです。

受賞コメント

ビジネスプランコンテストはあくまでもスタートラインです。 これからビジネスプランを本格的に進めて行く中で、自信を無くしたり、迷ったりすることが多々あると思います。 その時には、このコンテストで評価され、優秀賞を受賞した実績を思い出し、自信を取り戻したいと思います。 10年後、この優秀賞が間違いなかったと思われる様に本番のビジネスでしっかりと実績を出していきたいと思います。

委員長コメント

本プランは、磁器素材の新たな屋根材の開発及び販売事業を提案している。 提案者は長年、陶器瓦のトップメーカーに技術者として勤めており、陶器瓦、金属屋根材やストレート屋根材といった既存の屋根材の課題を熟知している。 そこで開発されたのが、本プランで提案される磁器素材の『タイルーフ』となっている。 軽量性、耐久性といった面では、セラミックの特性を活かしつつ、強度や加工性といった側面での工夫や改良は、商品開発にも実績が有り、施工現場を知る提案者ならではのものである。 その他にも、再利用性や環境負荷の低減を実現し、メンテナンスコストが抑えられるといった優位性を備えている点は高く評価される。 屋根工事店、ハウスメーカー、エンドユーザーに対する具体的なアプローチが課題でありつつも、既に販売事業を展開しており、今後に期待の持てるビジネスプランと評価する。 よって、本プランを本年度の優秀賞とする。

ほの国やってみりん賞 アイデア部門

豊橋漫才大会 D-1グランプリ

任意団体チームフランポネ 藤田 ゆみさん マヌー島岡さん 島岡 プリシラさん(吉本興業所属芸人)

豊橋市及び、東三河地域に住む、外国人、障がいのある方を含め、一般の方々を対象とした、 お笑いを通じた就労支援サービスを展開します。豊橋市そして愛知県には多くの外国人、障がいのある方が暮らしています。 しかし、地域住民の中には、外国人と暮らすことに文化の違いから不安を感じている方も少なくはありません。 さらに、外国人、障がいのある方の低賃金、就労問題は社会課題となっています。 私達は、外国人の言語習得、障がいのある方、一般の方々のコミュニケーション能力向上を目的とした漫才作成講座を障害者就労支援施設、 日本語学校、企業、教育機関で実施、受講者が出場する漫才大会D-1グランプリ(Dはダイバーシティ多様性の意味)を地域で開催し、 大会で得た収益を出場者全員に還元することで、収入機会と雇用拡大に繋げる、お笑いと教育、就労支援という新しいサービスを提供します。 このサービスを活用し、外国人、障がい者の方、一般の方々が漫才を始めたことがきっかけで、地域で芸人として活躍されており、 出演料で収入が上がったとの効果があり、高い評価を受けています。

受賞コメント

この度は、ほの国やってみりん賞をいただき、ありがとうございます。任意団体チームフランポネのメンバーは全員、関東在住ですが、 愛知県では名古屋市、刈谷市、新城市、瀬戸市を中心に活動しております。新たなフィールドとして、豊橋市、 そして東三河地域にこの事業を広めていきます。東三河には「三河万歳」という伝統芸能があります。 この「万歳」が今の「漫才」のスタイルの原型になったと言われています。豊橋市民の皆様が、漫才に挑戦することで、 伝統芸能の文化継承に繋がり、さらには就労支援として、収入、やりがいを得るきっかけになります。外国人の中には日本人と接す る機会の少ない方や、障がいのある方の中には、結婚、就職などの人生のライフイベントを経験することができない方がいます。 漫才に挑戦し、ステージに立つことで、誰もが活躍できる場を用意することができ、さらに、自分に自信を持てるようになります。 地域イベント出演などで芸人として活躍する人材の育成、もしくは、一般就労に繋げることができます。私達の活動は、地域に貢献し、 新たな雇用を生み出すだけではなく、国籍、性別、障がいの有無に関わらず、誰もが自分らしく働くことができる社会をお笑いの力で実現することです。 応援のほどよろしくお願いします。

委員長コメント

本プランは、障害のある方や外国人が参加する豊橋漫才大会 D-1グランプリの開催とそれに関連する就労支援や教育事業の提案となっている。 提案者らは、プロの芸人であり、お笑いを通じた社会課題の解決をテーマにソーシャルビジネスの実践を目指して活動している。 既に、「漫才作成講座」や「漫才で覚える日本語」などの講座を教育機関、障害者就労支援施設、日本語学校、企業研修で実施されている。 そして、漫才大会は、参加される障がい者や外国人の方々の出演料として還元されるとともに、企業や行政、市民を招くことにより、 マイノリティとされる人たちの印象を変えることで就労支援や相互理解・交流を深める場として機能することを狙いとし、 他の地域での実績もある。在留外国人が多い当地域での漫才大会開催は、更なる事業展開を期待させる。 漫才とは、会話で笑いを生み出すものであり、そこには必ず相手を理解しようとする気持ちが必要である。 本プランが、笑いにあふれ、人を思いやる街づくりに貢献してくれることを期待し、ほの国やってみりん賞とする。

ほの国やってみりん賞 アイデア部門

地域健康循環プロジェクト~リハランド~

リハランド 増山 大祐さん 中島さん 笠野さん 中村さん 渡井さん(有限会社水車)

「リハランド」は、高齢者の健康寿命を延ばし、地域のつながりを深めることを目的としたプロジェクトです。 体操教室を通じて正しい運動習慣等を広めるだけでなく、参加者が地域の健康リーダーとして活動できる仕組みを構築。 講師資格認定や継続教育制度を取り入れ、活動の持続性を高めながら地域全体で健康支援を循環させます。 介護予防の課題に対し、住民一人ひとりが主体的に取り組むことで、健康で活力ある地域づくりに貢献したいと思います。

受賞コメント

この度は名誉ある賞を賜り、誠にありがとうございます。 「リハランド」は、地域の皆さまの声から生まれた、高齢者の健康寿命延伸と社会参加を目指すプロジェクトです。 この受賞を機に、介護予防が当たり前となる地域づくりをさらに進めるとともに、専門職が活躍できる環境を広げ、 多くの方々と力を合わせながら、地域全体で健康を支え合う仕組みを築いていきたいと考えています。 これまで応援してくださった皆さまに心より感謝申し上げるとともに、 今後とも温かいご支援を賜りますようお願い申し上げます。

委員長コメント

本プランは、高齢化が進むなか注目される介護予防と介護における医療専門職の新たな活動の場を広げることを目的としている。 提案される「リハランド」の活動内容は、単に筋力低下を予防するための運動指導だけでなく、 フレイルの悪循環を防ぐことを念頭に高齢者同士の交流を促し、地域の連帯感を図れるようなプログラムが用意されている。 これらは実際の現場で得られた経験等をもとに練られており、具体的かつ実践的な内容と評価される。 また、参加者がコーチとして活躍できる資格制度は、参加者にとって新たな学びやモチベーションアップにつながると共に、 指導される専門職の方々にとっても新しい活動の場となることが期待される。 提案者が言うように、行政・民間の救いが手薄になっている部分であるからこそ、行政や民間、地域との協力体制が必要だと思われる。 この地域高齢者の健康寿命を延ばす取り組みが広がり、地域コミュニティの活性化に繋がることを期待し、今年度のほの国やってみりん賞とする。

特別賞 一般事業部門

モノづくり企業の現場巡回作業をデジタル化して現場改善を滑らかに加速するDXサービス「デジパト」

 藤井 聡史さん(RainTech株式会社)

デジパトは製造業の生産現場で行われている改善業務である現場巡回をDXするサービスです。 現在の現場巡回は、社員の気づきを紙帳票に記入、事務局が紙帳票を集めてエクセルへ転記、パワーポイントで会議資料にするという非効率な定期作業です。 デジパトを使えば巡回結果が即時データベース化され、転記作業は不要になり、会議資料まで生成するため、スマートな現場管理が可能になります。 更に各社の巡回データを蓄積し、過去事例や改善方法を企業間でセキュアに、かつAIによって最適化された情報共有プラットフォームにより世界のモノづくり力を最大化するサービスです。

受賞コメント

特別賞を受賞できことを大変嬉しく思うと同時に、最優秀賞を獲れなかった悔しさも合わせて感じています。 デジパトが実現する製造現場DXは、グローバルに伸び代があると思って挑戦していますので、悔しさもバネにして爆速で大きく成長していきます。 これからの「デジパト」を応援よろしくお願いいたします。

委員長コメント

本プランは、製造業の現場で行われている現場巡回という改善プロセスをDX化するサービス「デジパト」の企画提案となっている。 生産技術者としてこの業務に取り組んでこられた提案者は、アナログで煩雑な改善プロセスをDX化する中で、入力作業の効率化はもとより、 データベースや会議資料となるデータの自動生成機能を実装するアプリケーション「デジパト」を開発し、現場改善活動の高速化を目指している。 既に段階的な実証に着手しており、作業時間の大幅な削減も見られている。また、工場のマップ上で課題や改善の状況を見える化する機能など、 改善業務に熟知した仕様に対するユーザーの評価も高く、期待の持てる事業と思われる。今後の展開として、 「デジパト」を通じて蓄積された知見を共有化し、様々な現場における改善活動に活用できるサービスの提供に取り組まれている点も高く評価される。 本プランが、改善活動において適切な情報収集と有効な解決策を見だす有効なツールとなることに期待し、今年度の特別賞とする。