最優秀賞 一般事業部門

日常と非日常の境目を無くすフェーズフリーの視点で
災害時に本当に大切なものを持ち出せる魔法のポケット。

 石橋 衣理 さん(株式会社くればぁ)

地球温暖化や気候変動の影響で年々増加する自然災害だが、 避難時の防災バッグの中には自分にとって本当に必要なものが入れられているだろうか。 できるだけ日常に近い避難生活ができれば早めの避難を促せるかもしれない。 日常の中に防災への意識を溶け込ませることは、災害時の心の備えにもなる。 「もしもを、いつもに」という考えのもと、防災を日常に溶け込ませる 「フェーズフリー」の発想で企画したのが今回受賞の「魔法のポケット」である。 フェーズフリー商品によって防災備蓄が進むこととなり、 より多くの人々の命を守っていけるようになると考えます。

受賞コメント

この度は最優秀賞に選んでいただき大変光栄に思います。そしてサポートしてくださった、たくさんの
方々に感謝申し上げます。いつ災害が起こっても大丈夫だと思えるよう、一人一人の防災意識を日常に
いかに溶け込ませるか。そのためのモノづくりを今後も続けていきたいと考えています。
本当に大切なとを、しっかり。そこが、くればぁ。を合言葉に邁進していきます。

委員長コメント

本プランは、壁掛けのウォールポケットが災害時にポンチョとして使用できる多機能ポケットの商品開発提案である。 提案者が有する高精密メッシュフィルターの製造技術と開発商品である「防水シート」を応用した新商品であり、 「日常で使用しているものが、災害時などの非日常にそのまま転用することができる」という 「フェーズフリー」と呼ばれるコンセプトに則った商品開発となっている。 「災害時に本当に必要なものが防災バッグに入っているのだろうか」 という着想と日常使いしているものを非常時に持ち出せるというコンセプトは、 本商品のリュックなど鞄類の商品化プランにも活かされており、更なる市場やニーズ展開が期待される。 また、自社販売のみならず、コラボ商品としての企画展開を販促として検討されている点も評価できる。 災害時の危機管理が個人に強く求められる時代に合った身近なものであることから、 改めて危機意識を啓発する商品であることを評価し、本年度の最優秀賞とする。

優秀賞 一般事業部門

「傾斜地向けドローン農薬散布サービス」

 宮永 幸則さん(合同会社地域資源総合研究所)

農業コンサルティング企業として2015年4月に創業し、スマート農業の分野には2022年10月から試験参入。 ドローン操縦士の資格を取得し、兵庫県・岡山県で稲作・露地野菜の農薬散布から開始し、 果樹分野に特化したサービスを提供すべく実証実験を進めた。 4月から11月にかけて柑橘農家は23回の農薬を散布する必要があるが、 傾斜がきつい果樹園では重労働である農薬散布が大きな負担となっている。 この作業を農業用ドローン(DJI-T30)で行うことにより人力作業と比較しても10分の1以下の作業時間で行うことができ、 高齢化・後継者不足を抱える農業現場を変革できる新技術とされている。 また効率的な散布により「単位面積当たり世界1位」とされる農薬の使用量を軽減できる効果もある。

-受賞コメント-
「人間に胃袋がある限り、農業は永遠に不滅である」という言葉があるように、農業・食料・地域が抱える
課 題を解決し、農業を成長産業に変えてく挑戦を続けてまいります。

-委員長コメント-
本プランは、ドローンによる傾斜地栽培での果樹に特化した農薬散布と収獲適期の診断や土壌分析、 散布漏れの確認などトータル支援サービスの事業提案となっている。 農業従事者の高齢化は既に大きな社会的な問題であり、当地域でも重要な課題である。 それに加え、みかんや柿といった特産品の栽培は、本プランが示唆するように、 山地や傾斜地栽培といった環境や作業条件により、生産者の大きな負担となっている。 このような課題解決に向けた取り組みは評価される。 特に果樹に特化した農薬散布の経験・技術を有する提案者ならではの着眼点と 蒲郡を拠点に関係者を巻き込みつつ、実証に取り組まれようとする姿勢を高く評価する。 今後の成果期待し、本プランを本年の優秀賞とする。

ほの国やってみりん賞 一般事業部門

先端農業 ~アグリテック~体験学習ツアー

 松本 貴徳さん(株式会社中部)

今回のプランは農業大国であるベトナム農家の方をターゲット顧客とした体験学習ツアーである。 産学官の連携により、東三河にアグリテックを集積。 アグリテックの視察・体験学習を目的としたツアーにベトナム農家の方に参加していただくことでの インバウンド需要による東三河の活性化を目指す。 また、集客のために協業するベトナム企業と日本のアグリテック企業双方の商材・テクノロ ジーのコラボレーションにより新たなイノベーションを創 出し、東三河がアグリテックの最先端地域となる将来を創 り上げます。

受賞コメント

この度は東三河の資源活用や課題解決に結びつくプランとしての「ほの国やってみりん賞」に選出して
いただき、本当にありがとうございます。また、ご支援いただいた多くの皆様に深謝申し上げます。
今回のプランはデジタルマーケティングのカリキュラム受講を目的に参加させていただいた、
豊橋創造大学大学院開塾のSOZO起業塾(第12期)でのビジネスプランをより具体的なものへと
ブラッシュアップしたプランであります。私の現業は建設分野であり、今回のプランの農業分野とは
全くの異業種であることからも、エントリーには迷いもありましたが、まずは『行動』することで
業種間の『枠を超える』新しいイノベーションが生まれることを期待し応募させていただきました。

委員長コメント

本プランは、東三河の先端農業の取り組みをベトナム農業従事者へ紹介(体験ツアー)を提案するものであるが、 その背景には、この体験学習ツアーを経緯とする国内アグリテック企業の当地域への集積とインバウンドによる 経済発展を狙いとする循環型の事業構想がある。 農業とものづくりを武器とする当地域の将来構想に適う企画であり、 その発端となる事業として実現性が高く、興味深いものがある。 ベトナムの農業従事者や事情にも精通しており、本プランに期待が寄せられる。 この東三河地域の資源や人びとの想いを一つにまとめあげる構想・企画と評価し、 本プランをほの国やってみりん賞とする。

特別賞 一般事業部門

ホワイトボード・黒板の板書用アシスト定規 マンボウⅢ(マンボウスリー)

 中村 孝典さん(株式会社 UHOLABO)

教育現場の声から生まれた、ホワイトボード・黒板の板書きに便利な定規。 一度は見たことがある黒板で使用する定規、利点は道具の使い方を教えることができる。 しかし、持ち運びが不便、1つ1つが重い、生徒には使いづらい、作図後の置き場に困る。 学校に2、3セット程しかない。高価であるなど欠点が多い。 現役の教師から聞き取りを行い、試作品チェック改良を重ね、 使いやすさと携帯性を重視した定規に仕上げた。 このアシスト定規は1本で分度器、コンパス、直定規の機能を備えている。 定規の名前はマンボウⅢ(マンボウスリー)。 不思議な名前ですが、理由は皆さん推理してみてくださいね。

受賞コメント

特別賞に選んでいただきありがとうございます。商品の完成には多くの現役教師が関わっていただき、
現場の不便を解決できるモノができたことに感謝申し上げます。教師はもちろん、生徒にも簡単に
使えて、きれいに円や角度線が描ける。しかもコンパクトで持ち運びに便利。マンボウⅢは製図道具
メーカー大手のドラパス株式会社から販売されます。また、製造の一部を就労支援施設「ココポルタ」
に 依頼しています。少しですが社会貢献の1歩を踏み出すことができました。ココポルタの仕事を
増やすことができるようにPR活動を頑張ります。

委員長コメント

本プランは、学校教育の現場において用いられる黒板・ホワイトボード用の分度器・コンパス、 三角定規などの機能を一体化・軽量化した直定規の商品開発を提案している。 本商品の特徴や工夫に見られる発想は、工業高校で16年の教歴がある提案者ならではのものである。 また、本商品の開発・製造や商品化に向けて協力企業との連携を図られている点や 2年前の当コンテスト受賞時から「ものづくりで地域貢献・社会貢献」を謳われ、 障がい者施設への製造依頼を実践されている点は高く評価される。 本プランが前作同様の話題性のある商品に成長・展開されることを期待し、本年度の特別賞とする。

特別賞 一般事業部門

飼料高騰対策に対応したクラウド型養豚管理システム

 鳥居 英剛さん 戸苅 宏元さん(株式会社ロジカルピッグ)

現在、養豚事業者に限らず畜産業界では飼料高騰が大きな課題になっている。 10年前と比べて飼料価格はおよそ2倍に高騰しており、 生産コストの削減、販売力の強化が求められている。 浜松市、豊橋市、新城市、田原市などに養豚場を有する 株式会社春野コーポレーションでは養豚のDX化を進め、 その培ってきた技術を全国の養豚事業者と共有したい。 そのような想いから「飼料高騰対策に対応したクラウド型養豚管理システム」の開発を進めています。

受賞コメント

この度は「特別賞」という表彰をいただき誠にありがとうございます。養豚事業ということで、皆さま
とはなかなか縁遠い事業者ではあるかと思います。しかしながら東三河をはじめ、愛知県には多くの養豚
事業者がいます。畜産業界は飼料高騰という大きな課題がありますが、そのような状況の中を生き残り、
更には事業を成長させるためには「新しい技術」を取り入れていく必要があります。私たちは今後も
新しい挑戦を続けてまいりますので引き続きご指導のほど宜しくお願い致します。

委員長コメント

本プランは、養豚場経営において、餌の管理から人員管理、コスト管理に及ぶデータ化、 見える化を図るための養豚管理ソフトの開発及び支援サービスの展開を提案するものである。 タイトルにもあるように、昨今の社会情勢から、飼料費の高騰は養豚事業にとって大きな問題となっている。 自らも養豚場を経営される提案者は、業界の慣習的な感覚にたよる農業経営から脱却し、 「飼料のこぼれがないか」といった細部にまで至るコスト意識を持ち、 データによる科学的・合理的な分析を用いる経営の必要性を主張されている。 既に浜松・豊橋地域において実験的導入が予定されており、その検証等が期待される。 本システムの導入による農業経営の意識改革の実現、並びに全国展開を目指すという取り組みに期待し、 本プランを今年度の特別賞とする。