最優秀賞 一般事業部門
東三河でAvoラボ
千賀 吉晃 さん(BEST GREEN FARM)
国内において農業の一大産地である東三河地域においても、 高齢化による労働力の低下や後継者不足による空きハウスの増加が予想されます。 また、原油高や農薬をはじめとした様々な資材の高騰など、 農業を取り巻く環境は決して良いとは言えません。 そこで、5年・10年先、次世代を担う若い世代がやってみたくなるようなワクワクする農業、 未来ある農業を考えた時に見つけたのが「アボカド」の栽培でした。 近年、日本人も多く食すようになってきたアボカドですが、 99.9%を輸入に頼っているのが現状でした。 しかし、愛媛県や和歌山県などでは先進的に栽培がされており、 決して栽培が不可能ではないと考えました。 国産のアボカドは珍しく一個1,000円以上での取引もされていることから、 高級果実として販売も可能であると考え、令和元年より栽培を始めました。 アボカド栽培は、多くの労働力や高度な施設を必要としないため、 現状の農業経営と平行して栽培が可能であり、 今後予想される空きハウスを利活用し栽培することも可能です。 現在は、アボカド栽培に関するマニュアルの作成やアボカドの熟期を判断するための油分の測定調査、 落下果実を利用したアボカドオイル・化粧品開発の可能性の調査を行っています。 「アボカドと言えば東三河」と全国に認識されるようなアボカドの一大産地をこの地域に作っていきたいと思います。
受賞コメント
最優秀賞という思わぬ結果を頂き、正直驚いています。 この結果は、私自身の努力ではなく多くのサポートして頂いた方や 事業構築を行っていくうえで協力して頂いた方々のおかげです。 農業の一大産地である東三河も、何もしなれけば衰退の一途をたどってしまうのではないか、 という危機感を抱いています。
先代の方々が築き上げてくれたものに対して敬意を表しながら、 次代にワクワクできる農業のバトンを渡していきたいと考えています。
委員長コメント
本プランは、既存の硬質ハウスを利用したアボガド栽培を実現し、 その販売及び商品展開、ハウス栽培のコンサルティング事業を企画提案するものである。 東三河地域の温暖な気候と特色である施設園芸を活用し、 提案者の現業である菊の栽培と並行して行えるアボガド栽培に着眼された点は高く評価される。 アボガド自体は、需要が拡大傾向にあり、数少ない国産品は魅力である。 また、既存施設の併用や温暖な気候による暖房燃料の不要といった当地域ならではの環境による優位性は高い。 ハウス栽培に適した技術の確立などへの取り組みも実現されており、 本事業は菊生産者の希望でもあり、新たな特産品の可能性を期待させる。 既に実証段階を経ており、テストマーケティングも着実に実施されている。 原油高・資材高騰といった逆風に加え、農業従事者の高齢化・後継者不足といった問題に向き合うなかで、 本事業の成果が大きな光となることを期待し、本年度の最優秀賞とする。
優秀賞 一般事業部門
がん治療日記シェアアプリ「ribbons」
西川 隆一さん(株式会社Ribbons Base)
ribbons(リボンズ)は、がん治療中の方が体調を記録してシェアする、 スマートフォンアプリです。私自身が薬剤師として病院でがん患者さんをサポートしている中で、 「あったらいいな」と考えていたものを土台に、多くのがん患者さんと意見交換しながら作ってきました。 ribbonsには、治療日記・タイムライン・検索・共有の4つの機能があります。 これらの機能を通して、ただの記録ツールではなく、心強い治療のパートナーのような価値提供を目指しています。 治療日記は、がん専門薬剤師としての知見を活かし、薬を選ぶとそれに紐づいた注意すべき副作用が日記に反映されたり、 医療者が利用する評価尺度で記録したり、症状が強いときには受診を促すアラートも表示されます。 このようにただ記録しているだけで、自然と治療の質が向上するような工夫を組み込んでいます。 また、がん治療をしている時は日常生活を送ることも大変で、それを周りの人に理解してもらえない苦痛があります。 タイムラインと検索機能では、同じように治療を頑張っている人の存在を感じてもらい、孤独感のような苦痛を和らげ、 治療に少しでも前向きになってほしいという願いが込められています。 共有機能は医療者やご家族と記録を共有して、適切なサポートを促します。たくさんのリボンが重なり合うように、 ribbonsが支え合いの場になってほしいと思います。
受賞コメント
この度は優秀賞に選んでいただき誠にありがとうございました。
またいつも支えてくださっている皆様に感謝申し上げます。
今後も「がんになっても大丈夫な未来をつくる」という目標に向かって、精進してまいります。
委員長コメント
本プランは、薬剤師としてがん薬物療法、緩和ケアなどに携わってこられた提案者ならではの 「がん患者のサポート」を目的としたアプリ開発とサービスの事業提案となっている。 がん治療における患者が抱える課題として「診察時間の短さ、患者-医療者間の副作用評価のズレ、 苦痛が誰にも理解されない孤独感、医療情報の取捨選択の難しさ」などが指摘されている。 これらを解決するプランとして、患者同士、患者-家族、患者-医療者でシェアする治療日記のアプリ開発が提案されている。 日々の症状や受診などの記録だけでなく、薬剤毎の副作用、受診勧奨、 ワンポイントアドバイスなど医療的な価値を付加している点や患者が自ら情報検索を行えるような機能を有しているなど、 患者に寄り添う視点からの商品開発を実践されていることを高く評価する。 今後の成果を期待し、本プランを本年度の優秀賞とする。
ほの国やってみりん賞 一般事業部門
ライダーの特性と地域の魅力を最大限活かした地域活性化プロジェクト
岸 夏苗さん
今回のプランは、奥三河ライダー歓迎市町村を目指すものです。 ライダー歓迎都市宣言をしている石川県の成功事例を知り、ライダーにとって、 奥三河の自然やグルメ、観光は石川県に匹敵する魅力があります。 奥三河でライダーと地域住民が交流できるイベントを開催し、SNSで魅力発信を継続、 奥三河のライダーの拠点づくりを目指します。 拠点では飲食、商品の販売、ガイドサービス提供をし、奥三河へ訪れるきっかけ作り、 周遊を促す情報発信を実施します。 事業が進む事で、奥三河に訪れるお客さま、ファンがふえると考えます。
受賞コメント
この度は「ほの国やってみりん賞」に選出して頂きありがとうございます。 日頃からご支援頂いております皆さまには感謝申し上げます。 東三河ビジネスプランコンテストに参加して、自分の活動を見直すきっかけや、 課題が明確になり、大変貴重な経験をさせて頂きました。 ライダーのコミニティや活動範囲は広く、訪れる土地を大切にしたい、という想いが強い方が多いです。 そんなライダーの皆さまが、全国から奥三河を訪れ、ファンになって貰える活動を目指しています。 奥三河の自然やグルメ、人の魅力が、全国のライダーさんに伝わる発信を継続し、 地元の皆さまにご指導頂きながら、奥三河でのイベントや拠点づくりに取り組んでいきたいです。
委員長コメント
本プランは、奥三河の魅力とライダーの有する集団行動や拡散力といった特性を活かした地域活性化に向けた取り組みの提案である。 提案者自身もバイカーであり、動画クリエーターとしてバイク業界で活動されており、 その情報発信力を買われ奥三河公式PR大使に就任されている。 本プランは「奥三河をバイカーの聖地にする」というテーマで『ライダーを歓迎するまち』という新たな魅力の創出を図ろうとするものである。 先行する石川県の事例を参考に、女性目線、地元目線、ライダー目線から情報発信・イベント展開や拠点づくりなど、 様々なアイデアが提案されている。既にいくつかのイベントは実施されており、今後の活動も期待される。 今後、更なる地域との協力関係を構築し、地域の人々とライダーとの協創関係が生み出されるような取り組みが必要になると思われる。 本プランが『ライダー歓迎都市』という奥三河の新たな魅力の創出の繋がることを期待し、ほの国やってみりん賞とする。
特別賞 一般事業部門
電気刺激による味覚調整デバイスを利用した減塩食等の継続支援サービス
福島 大喜さん(株式会社UBeing)
皮膚へ微弱な電気刺激を与えるデバイスを利用して、腎臓病や高血圧症など生活習慣病や高齢者の、 減塩食が美味しくなく継続が困難という課題解決を目指したビジネスプランです。 高血圧症や慢性腎臓病は様々な合併症を起こし、健康寿命の短縮、QOLの低下、医療費の増加を引き起こす緊急性の高い社会課題です。 塩分少なめの食事はこれら疾患で重要ですが、味が美味しくなく継続が難しい状況にあります。 我々のデバイスで美味しいと健康の両立を実現させます。
受賞コメント
今回は栄誉ある特別賞をいただき、誠にありがとうございます。
このビジネスプランは、美味しさと健康の両立を実現する道を切り開きます。 この受賞は、私たちのビジョン『あなたらしく生きるを予防医療で支える』の証です。 皆様のご支援と期待に応え、良い成果をお届けできるよう努力いたします。 おいしさと減塩を実現させることは、我々だけでは解決困難な課題です。 食やヘルスケアなどに興味がある個人の方、食品企業様、医療介護機関様などございましたら、ぜひご連絡ください。
今回はありがとうございました。
委員長コメント
本プランは、高血圧や慢性腎臓病の患者に必要とされる『減塩食』の「なかなか継続されにくい」という本質的課題の解決を提案している。 減塩食が継続しない主たる理由は「味がしない、美味しくない」ということである。 既存の解決策として電気味覚を用いたカトラリー型の商品は存在するが、 味覚調整効果の持続性という欠点が指摘される。 本プランは「経皮刺激により塩味が増強されるという」研究結果をもとに『経皮電気刺激デバイス』を開発し、 味覚変化を持続させるだけでなく、他の味覚の増強などにも取り組む提案となっている。 現状、試作・実証段階にあるものと見受けられるが、ユーザー視点でのデバイスなどの改良や商品展開が期待される。 よって、本プランを今年度の特別賞とする。
特別賞 一般事業部門
ドットポッチ
中村 孝典さん(株式会社 UHOLABO)
ノートを綺麗にまとめることは、学力向上に繋がると言われています。 東京大学生が中高校生の頃に書いたノートを調査して生まれたコクヨのドット入り罫線ノート。 発売から15年経ち、新しいドット罫線が発見されました。 その名は、「ドットポッチ」。 ドットとポッチ(少し小さい点)を縦横交互に配置してドットを見やすくし、 ドットとポッチの配置距離を1対2対ルート3の比率にすることで、 点を繋ぐだけで正三角形や正六角形、斜視図が描けるようになりました。 ドットポッチは2020年度に特別賞を受賞したベスト定規を広めるために、 点繋ぎ絵を活用しようと試行錯誤していたときに偶然発見しました。 数学教授に意見を聞いたところ、「とても面白い、ありそうでなかった罫線」と評価されたことから、 高校数学教師、多くの学生にヒアリングを行い、色んな種類の罫線タイプを用意しました。 用紙のみを先行発売し、人気の用紙をノートとして商品化します。
受賞コメント
まずは東三河の学力と創造力を伸ばすアイテムになってほしい。
「理数系のノートはドットポッチノートがいいね」とX(旧Twitter)で呟かれたい。
「ドットポッチ」を新語流行語大賞にノミネートされることを目指しています。
応援よろしくお願いします。
委員長コメント
本プランは、ノートの罫線とそこに付されるドットの間隔を工夫し、 『斜眼紙』として用いることを可能とする商品の提案である。 既存商品の「ノートが綺麗に書ける」という効果に加え、 理数系・工業系・デザイン系の授業における作図もフリーハンドで書くことができるものとなっている。 また、従来の縦長のノートを横向き(横長)にすることで、学校教育における板書に適した使用を提案している。 他にも多くの特徴や工夫が盛り込まれる発想は、工科高校で30年の教歴がある提案者ならではのものである。 また、これまで当コンテストで2度の受賞があり、年々、 協力企業と関係性と共に商品開発力が高まっていることや障がい者施設への製造依頼を継続的に実践されている点は高く評価される。 本プランが、これまでの商品同様の話題性のある商品に成長・展開されること期待し、本年度の特別賞とする。